2026-09-17 Thu 18:09:01 No.15106294
場所は小川町、NTTのそばとしか説明のしようはない。「八ツ手屋」という天プラ屋である。
まったくわかりづらい裏道にあるが、鼻の利く人なら江戸前の香ばしい胡麻油の匂いを頼りに発見できるかも知れない。
ここの天プラは信じられぬほど安く、しかも一口食ったとたん誰でもたまげるほどうまい。
どのくらいうまいのかというと、かつて私は「八ツ手屋」の目と鼻の先にあった実家を勘当され、
勘当されたままガキ、学生、自衛官、渡世人、小説家と、家には帰らず天プラを食いに通ったのであった。
(浅田次郎「勇気凛凛ルリの色」より)